詩(少年・青年期)
物理の研究に夢中になる前に書いていたものからいくつか抜粋しました。
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オレはなぁ オレはなぁ お前らとはちがうんや オレはなぁ お前らアホとはちがうんや オレはなぁ と言いながら 君は全速力で逃げる 必死で追いかける友達から君は逃げ切ったのか オレはなぁ と言いながら 君は覚悟したのか 君はもうすでに後悔していたではないか オレはなぁ と言いながら もう誰も追いかけて来ないのに 君は気付いていたではないか オレはなぁ と言いながら 君は泣いていたではないか オレはなぁ と言いながら 君は一人 走っていたではないか 先輩 オレよぉ こんなんじゃいやだからよ お前らちゃんとやってくれよな こんなんじゃ終われねえからよ お前らもちゃんとやってくれよな マウンドの円陣の中 晩秋の暗闇に響く 先輩の泣き潰れた声 こんなんじゃいやだからよ お前らちゃんとやってくれよな プレートの上に泣き崩れる 先輩の声が いまも僕らの胸に響く こんなんじゃ終われねえからよ お前らもちゃんとやってくれよな あの時 眼は涙で溢れていた 振り向けばみな泣いていた 心臓が強く鳴っていた 涙を拭かず旅立った 頭は詩で溢れていた 夏 メキシコのグアダラハラからエルモシージョに向かう長距離バスのエンジントラブルで深夜三時に何処とも知れない山沿いのハイウエー脇に降ろされた乗客の中に白で着飾った女がいた。睡眠中に起こされた乗客達はこれがまるで予定されていた事態であるかのように三々五々散らばってハイウエーの縁石などに腰掛けて大量の蚊が今ここぞとばかり襲ってくるにも拘らずそれでもさらに眠ろうとするのだった。あまりの蚊の襲撃に耐えかねた自己への容赦ない平手打ちの断続的な合奏によって眠る意思を奪われた乗客達はようやく一人座りもせずにバスの後方五メートル程の所にじっと立っている白の女に気が付いた。女は白のドレスに白のジャケットのようなものを羽織い白のストッキングと白のハイヒールを履いていた。そして膝元に群がる蚊を追い払おうと右手に持った白いハンカチを機械的に揺らしていた。真夜中の暗闇の中でゆらゆら揺れるそのハンカチの白を見ながら僕は不思議にも人類が今まで見てきたであろう夏を全部見たような気になった。 疑問 人間を解き放てばいいのか 理性に 感情に 訴えればいいのか 愛があればそれでいいのか 誰に尋ねるのだろう 自分が今までちゃんと生きてきたかどうかを 尋ねることがあるとして いったい 君は 誰に尋ねるのだろう いったい 君は 誰と共に真実を共有してきたのだろう いったい 君は 誰と共に死ぬのだろう 果たして 君は 一人で死のうというのか 誰にも尋ねないですまそうというのか |